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赤字法人への調査件数と狙われやすい企業の特徴



なぜ赤字なのに税務調査が来るのか? 


「赤字だから税金はかからない=税務調査は来ない」と考えがちですが、赤字でも税務調査は入ります。

税務署は申告の適正性や将来の黒字化に向けた過年度の是正可能性を重視しており、以下の観点でチェックします。


税務署が疑いやすいポイント

  • 赤字の作為性:売上除外・架空返品・経費の水増し・在庫計上漏れ・粉飾決算
  • 公私混同の疑い:社長個人の支出を経費化、会社⇔個人口座の混在
  • 数値の不自然さ:同業比で利益率が極端/前年からの急変
  • データ整合性の欠落:通帳・クレカ明細・請求書・契約書・メール(注文/納品)の齟齬

税務調査で狙われやすい赤字法人の特徴と調査件数


国税庁は限られた人員で効率的に調査を行うため、不正が見つかりやすいと判断した法人を狙って調査を行います。

赤字法人の中でも特に注意が必要な特徴は以下の通りです。


税務調査の対象となりやすい赤字法人の特徴

  • ・売上や利益率の急激な変動
    • -売上が急激に増えた後に大きく減少している
    • -競合他社と比較して不自然に利益率が低い
  • ・現金取引が多い業種
    • -飲食店や美容室、小売業など、現金取引が多い企業は売上を隠しやすいと見なされる
  • ・経費の不自然な増減
    • -交際費、旅費交通費、外注費などが不自然に多い
    • -プライベートな支出を経費に含めている疑いがある
  • ・長期間にわたる連続赤字
    • -事業が回っているにも関わらず、何年も連続で赤字申告をしている
    • -税務署から「事業の実態がないのでは?」と疑われることも

赤字法人への税務調査件数

国税庁が公表している「法人税等の調査事績」によると、黒字法人と比べると件数は少ないものの、赤字法人に対しても税務調査は実施されています。

令和4事務年度の調査件数は以下の通りです。


区分 調査件数(実地調査)
黒字法人 1万9千件
赤字法人 1万5千件

※参考:国税庁「令和4事務年度 法人税等の調査事績」

このデータが示す通り、赤字であっても税務調査の対象になる可能性は十分にあります。


赤字でも安心できる税務調査対策


日頃の体制づくりが最強の防御です。

記録の一貫性」と「説明の準備」が鍵です。


日々の経理を“ズレなく回す”

  • ・証憑→仕訳→月次締めをルーティン化(遅れはミスの温床)
  • ・通帳・クレカ・売上台帳の突合を毎月完了
  • ・私費混入の遮断:事業口座/カードと個人用を完全分離、立替精算は月次

書類・データの整備(電子帳簿保存法・インボイス対応を含む)

  • ・必須三点セット:請求書/契約書/成果物・納品のエビデンス
  • ・電子取引データ(PDF・メール・クラウド請求)は要件どおり保存
  • ・総勘定元帳・補助元帳・固定資産台帳の出力・保管

【チェックリスト】30分でできるセルフ点検

  • ・通帳・クレカ明細⇔元帳⇔請求/領収書が自走で突合できる
  • ・外注費/広告費/交際費は目的・相手先・成果まで紐付け済み
  • ・在庫は実地棚卸と一致、評価方法(原価法/低価法)の説明資料あり
  • ・役員貸付金/仮払金の残高理由を書面で説明できる
  • ・電子取引の保存要件(検索性・改ざん防止)を満たしている

通知後〜当日の流れ(安心ガイド)

  • ・事前通知(電話/書面)→日程調整/対象税目・期間の確認
  • ・書類準備:下表の提出候補を揃える(必要最小限+求められた分)
  • ・当日の進行:導入面談→帳簿・証憑確認→実地確認→終了説明/持ち帰り
  • ・持ち帰り審理:追質問に期限を切って整理し回答
  • ・結果説明:是認/修正申告/更正予告→必要に応じて分割納付等を検討

【表】提出・準備物リスト(まずはこの基本セット) 


区分 具体例
会計 総勘定元帳・補助元帳・仕訳帳・試算表・決算整理仕訳
証憑 請求書/領収書/見積/納品書/契約書/議事録
資金 預金通帳・ネットバンク明細・クレカ明細・借入契約・返済表
税務 申告書控・別表・勘定科目内訳明細書・固定資産台帳
労務 給与台帳・源泉徴収簿・外注先の支払調書/マイナンバー収集記録
証跡 受発注メール/チャット、SaaS画面キャプチャ、在庫台帳・写真

回答者は経理責任者と税理士に一本化することがコツです。

現場で即答できない場合は、「持ち帰って整理のうえで回答いたします」とお伝えいただければ差し支えありません。


税理士に依頼するメリットと費用の目安

  • ・論点の早期特定・拡大防止、回答文書の作成、質疑の交通整理
  • ・費用目安(相場感):事前レビュー/立会費用、修正申告対応、異議申し立て等(難易度と工数で変動)
  • ・依頼タイミング:通知が来たら即。可能なら決算前レビューを定例化

まとめ:赤字法人への税務調査は「事前の備え」が鍵


赤字法人であっても、税務調査の対象になる可能性は十分にあります。

大切なのは、不正な経理を行わないこと、そして日頃から正確な帳簿を作成することです。

税務調査は決して怖いものではありません。

しかし、適切な準備ができていないと、思わぬ指摘を受け、多額の追徴課税を支払うことになりかねません。

本記事で解説したポイントを参考に、自社の経理体制を見直してみてください。

専門家である税理士に相談することで、より安心して事業に専念できるようになります。