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TOP >  コラム >  税務調査 >  税務署が無申告を把握する方法と調査リスクの実態

税務署が無申告を把握する方法と調査リスクの実態


「申告していないけど今のところ連絡は来ていない…」


その静けさは安全の証明ではありません


税務署が無申告を把握する仕組みと、見落としがちな調査リスク・ペナルティをやさしく解説します。


個人事業主・法人いずれにも役立つ“いま取るべき具体策”までまとめました。


税務署が無申告を把握する仕組み

税務調査はランダムではなく、データと根拠に基づく選定から始まります。
まずは「どこからバレるのか」を押さえましょう。


法定調書・第三者情報(支払調書・特定口座等)の突合で露見

企業や金融機関が提出する法定調書(報酬・料金の支払調書、配当等)、証券会社の特定口座年間取引報告書などは税務署に集約され、申告内容との突合(マッチング)に使われます。


未申告や金額の不一致は、この時点で機械的にあぶり出されます。


銀行・決済・プラットフォームのデータとAI選定

税務当局には質問検査権があり、必要に応じて銀行や取引先に照会できます。


さらに税務行政はデータ連携とAI分析の強化を明言。申告・決済データの異常検知や選定の高度化が進んでいます。


反面調査・情報提供(タレコミ)・ネット情報の活用

取引先や外注先、金融機関など第三者に対する照会(反面調査)が行われることがあります。
反面調査の必要性や事前連絡の可否は内部ルールに基づいて検討され、実施時は反面調査である旨を明示します。
ネット上の公開情報や通報が手掛かりになるケースもあります。


参考:国税庁


税務調査の流れ

多くは事前に調査通知(対象税目・期間・臨場の旨)が届き、日程調整→臨場→資料の持ち帰り審査→結果説明という流れです。


ただし、資料隠匿の恐れなど一定の要件では無予告調査もあります(通達で例外を規定)。
持ち帰り期間は案件の内容・量で異なります。


参考:国税庁


無申告を把握する主な情報源(概要)
情報源/制度 具体例 何が分かるか
法定調書 報酬・料金、配当等、支払調書 受取側の収入の有無・金額
金融取引報告 特定口座年間取引報告書 株式の売買損益・配当
反面調査 銀行・取引先への照会 実在性・金額の裏付け
選定(AI/データ) 申告・決済・外部データ 異常値や未申告の抽出

表は、どこから“露見”するかを俯瞰できるよう要点だけをまとめたものです。
実際の照会可否や範囲は法律・通達と個別事情で判断されます。


「来ない」と油断しがちなリスク要因

「10年以上来ない」「赤字だから大丈夫」などは誤解のもと。選定は“来るべきところに来る”ロジックです。


「10年以上来ない」神話と税務調査の選定ロジック

年数だけで安心はできません。調査は、第三者情報との不一致、利益率の急変、現金比率の高さなど異常値で優先度が上がります。
AI活用で長期間の未申告やパターン検知も強化されつつあります。


個人事業主・法人で狙われやすい業種/時期/金額感

現金取引が多い業種、外注費・旅費など裁量経費が多い業態、売上が伸びた直後や決算直後の時期は注目されがち。


相場・頻度は公表されていませんが、上記の“異常値”があると選定の優先度が上がるのが実務感覚です(公式にもデータ選定の方針が示されています)。


無申告・売上除外・経費水増しで“やばい”と見なされるサイン

無申告は加算税の対象。売上除外(現金売上の抜き取り)や架空経費は「偽りその他不正の行為」に該当し得て、後述の重加算税や7年遡及のリスクが高まります。


相続税・副業・ネット銀行・クレカ明細で露見しやすい論点

相続税は名義預金・仮装贈与など銀行照会で見抜かれやすく、副業やフリマ収入は法定調書・決済データとの突合で認識されがち。


ネット銀行やクレカの明細も、必要に応じて質問検査権や反面調査で裏付けが取られます。


受けるペナルティと初動対応

「罰金」だけでは終わりません。加算税・延滞税・信用低下まで、総額と影響を把握しておきましょう。


無申告加算税・重加算税・延滞税の基本と計算の考え方

無申告加算税:原則15%(50万円超部分は20%)。調査通知後でも更正予知前の期限後申告なら10%(50万円超部分は15%)。
5年以内に無申告加算税等の前歴がある場合は25%(同30%)に加重。


重加算税:仮装・隠ぺい等の悪質事案で賦課。区分により35~50%。


参考:国税庁


延滞税:納期限の翌日から完納日までの期間に応じて法定利率で加算。毎年の税率は国税庁が告知。


参考:国税庁


区分 原則割合 加重・例外 典型論点
無申告加算税 15%(50万円超20%) 調査通知後の期限後申告は10%(50万円超15%)/5年以内の同種前歴で25%(同30%) 無申告、期限後申告
重加算税 35~50% 区分により異なる 仮装・隠ぺい、売上除外、架空経費など
延滞税 年度の税率に基づき日割 猶予等の特例あり 納付遅延

表は制度の“型”を整理したものです。
実際の割合は時点・状況・区分で変わるため、個別にご確認ください。


5年/7年遡及の根拠と一括是正の資金繰りリスク

更正・決定の期間制限は原則5年、偽りその他不正の行為があると7年
長期の未申告や不正が判定されると、複数年分の本税+加算税+延滞税が一度に到来し、資金繰りを圧迫します。


青色承認取消・信用低下など非金銭的ダメージ

青色申告の承認取消により、青色特典(損失の繰越控除、特別控除など)が使えなくなる場合があります。
さらに、金融機関は税務是正の状況を重視するため、融資や取引の信用低下につながる恐れも。


自主的な修正申告・税理士立会・証拠保全の進め方

調査通知前かつ更正予知前の自主的な修正申告は、無申告加算税の割合を下げられる重要な手段です。
提出前後の説明や交渉は、税務調査に強い税理士の立会で進めると安全。領収書・通帳・契約書・取引ログなど、原始資料の保全から着手しましょう。


参考:国税庁


まとめ

無申告や不正は「運よく見逃される」時代ではありません。

法定調書・金融データ・AI選定・反面調査で無申告は露見しやすく、発覚時は本税+加算税+延滞税に加えて信用の毀損という二次被害も生じます。

「まだ来ていない」今こそ、修正申告の検討と体制整備(記帳・証憑・決済データの一元管理)を進め、専門家に早めに相談しましょう。


よくある質問

Q. 無申告でも少額なら見逃されますか?
A. 金額の多寡だけで判断されません。第三者資料との不一致や継続性が重視され、少額でも選定されることがあります(データ選定を強化する方針)。


Q. 事前通知なしの“抜き打ち”は本当にある?
A. あります。資料隠匿の恐れなど一定の事情では無予告調査が許容され、通達に例外が示されています。


Q. 何年分まで遡られますか?strong>
A. 原則5年、不正があると7年が目安。事案により異なるため、個別に確認が必要です。


Q. 自主的に修正申告すると何が変わる?
A. タイミング次第で無申告加算税の割合が軽くなることがあります。提出前に税理士に相談し、手順を整えるのが安全です。